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あって、それが空気につながっていて、その泡立つ層の中で体が上下左右ひっくりかえりながら、鼻にも目にも口にも、まき上げられた底の砂が海水と一緒になって入ってきます。そういう中でも絶対死なないという安心感がありまして、そういうところで、荒れた海に自分が慣れ親しんでいったというのが、海に対する最初の親しみです。
海水浴とか海のレジャーというものとは、少し違った非常に特殊ななじみかたをしたのかな、と思っております。
今、私の海に対する思いは、法律的には問題があるとは思いますが、できれば海に葬っていただきたいな……。三十数億年前に自分が生まれてきた海にもう一度戻って、そして魚に食べてもらって、彼らが再び元気になってくれる。そういう死に方ができないかなというのが最後の思いです。普通の方とはやや違った海への親しみ方だと思います。
吉村 私も海育ちでございまして、泉さんと同じように台風になると、海に出かけた記憶がございます。次に岸さんお願いします。
岸 私は兵庫県の芦屋の海で育ちました。泉さん、吉村さんと同じように台風の日でも海に出かけるほど海が好きだったんです。特に夏場は、夜明けとともに二食ぐらい弁当をもって海に出かけ、日暮れまで遊んでいました。青春は海とともにあったという感じでございます。
焼けた砂浜をはだしで歩き、しょっちゅう貝で足を切り、伝馬船とかヨットに乗せてもらって沖へ出て、転覆して漁業者に助けてもらったり、海のすばらしさ、海の怖さも体験できたかなという環境で育ったと思います。海が私を育ててくれたと言っても過言ではないと思っております。非常に丈夫でたくましい娘に育ちました。

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吉村 それでは南波さんお願いします。
南波 僕も海が好きで、一番自然に近い乗り物、ヨットに取り組んできまして、二回八年間にわたって海の文化の、ヨットレースの頂点というアメリカズカップに日本を代表して挑戦したのですが、そのとき実感したことは、仕事を行うには俗に人・物・金と言われますが、物とか金とかは最近、日本は経済でも例えばプロダクトでも成功しまして、われわれも潤沢な資金を持ってアメリカズカップにいどんだわけですけど、人というところで、海に長く慣れ親しんで遊んできた国のセーラーにはもう少しだなという気がしました。
そして、何とか日本の人にもっともっと海に出てほしい、日本人はアウトドアといいますか屋外は好きですが、海に出て遊ぶ人は意外に少ないですね。どうしたらいいかなと思っていたところ、今年世界に先駆けて「海の日」と名付けて国民の祝日ができました。
日本の海は、職場であったり、

 

 

 

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